時事

お金を払ってモノを食べない時代に生きる ~ファスティングしました

2020年3月22日

先日まで、ファスティング体験をしました。

ファスティングとは要するに「断食」のことです。以前からやりたいと思っていたところ、体重が右肩上がりに増えてきたのでこのタイミングに、と意を決してチャレンジしてみました。

具体的には、準備食2日、断食5日、回復食3日。準備食と回復食では肉魚卵などのタンパク質は禁止、断食中は血糖値を安定させるために酵素ジュースを水で薄めたものをちょびちょび飲み、あとは梅干し1個とサプリメントを少々飲みますが、後は何も食べません。水はたくさん飲んでよいようです。見たところ、断食の目的は3つ、

  1. 飢餓状態になることで細胞のオートファジーを起こすこと
  2. 食品添加物などの余分な悪いものを体に入れないこと
  3. 腸などの内臓を休めること

全体としてデトックスのためにやるわけですが、食べないので痩せることにも役立ちます。とはいえ、最初は筋肉が燃えてしまうので、筋肉量はどうしても減ってしまいます。早期に脂肪を燃焼させるモードに切り替えることが肝心だそうです。

さて、今回はパーソナルトレーナーを付けてファスティングを行ったのですが、よく考えると、「お金を払って何も食べないことを実践する」ということをしていて、何とも奇妙な気分になりました。最近ではシックスセンスなどのリゾートでも、「無人島で何もしない」というプランが人気があったりしますが、いくらデジタルデトックスなどといっても、「何もない空間」に数百万円払うということはまだ日本人には理解できる人は少ないように思います。しかし、実際そういうことに価値が生まれている時代であることは確かで、不思議さも感じるところです。

よくある笑い話に、先進国の人間が全然働かない先住民を働かせようという話があります。

「寝てばかりいないで、もっと一生懸命働きなさいよ」

「なんでですか?」

「一生懸命働いておカネを稼いで、裕福になったら働かなくても寝て暮らせるようになるからだよ」

「でも旦那、それは今、アッシがやっていることでさあ」

今全米で人気のコンマリこと近藤麻理恵さんについては、「片付けの魔法」が上手く時流にハマりました。大量生産・大量消費という米国のカルチャーが転換点に来ている時、「捨ててよい」と言ってくれる人が初めて現れたということでしょう。「Spark Joyしないものは捨てましょう。身軽になりましょう」というのは日本ではそれほど刺さる話ではないと思いますが、ガレージがガラクタの山というアメリカでは目から鱗ということになるのでしょう。

自己肯定感を高める際、「蓄えを持つ(create a reserve)」ということが大事だと言いますが、この蓄えを持つことの本質は「量を増やす」というわけではなく、「足るを知る」ということにあります。経済的にいくら貯金があれば満足するのか?人脈はいくらあれば良いのか?情報は?人は足るを知らない動物であり、そうである限り不安は消えてなくなりません。「足るを知る」、この一口のご飯から無限の幸せを感じるということが本当の幸せにつながるのでしょう。

もちろん今でも世界中に貧困層が存在し、日本では想像できない飢餓状態があるのも事実です。難民も多く発生しており、新しい紛争も生んでいます。そんな中、我々はモノがあふれているからこそ「足るを知る」という点において、高い倫理観を持たなくてはいけないように感じています。

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