東洋思想

干支に学ぶ庚子

2020年1月1日

 

社会の盛衰と生命の循環

最近よく考えるのは、人間の寿命と同じように企業にも寿命があり、また社会にも寿命があるということです。人間の一生は幼児期から成長期、成熟期そして人生の終盤へと歩みを進め、その過程を古人は青春、朱(しゅ)夏(か)、白(はく)秋(しゅう)、玄(げん)冬(とう)と表現しました。よく考えれば社会や文明も永遠ではなく、江戸時代も二六〇年で倒れ、近代日本も明治以来百五十年の時の中で太平洋戦争や米ソ冷戦とその終焉を経験しています。私たちはつい今の体制が永続するという前提に立っていますが、意外とその想定は儚いこと、そして昨今の保護主義やポピュリズムの台頭を見ると今後来る政情不安を感ぜずにはいられません。現代に生きる私たちにとっては、いかに歴史に学んだ上で進化発展を遂げるかが大切になるでしょう。

東洋では歴史の循環を草木の成長 に例え、六〇年周期の干支で表現して外部環境の変化を解釈する基礎としてきました。「干=幹」、「支=枝」であり、干支で一本の草木、一つの生命体を表し、歴史・社会の流れを経験的に帰納した古来の知恵といえるでしょう。

庚子(かのえ・ね)

今年の干支である「庚子(こうし)」ですが、「庚」は一つに継続・継承、一つに償い、そして更新を表します。前年から断絶することなく継続し、そして思い切って更新していくことが庚の字義といえるでしょう。「子」は十二支の初めで、陽気の到来と物事の増殖を表します。その意味では、庚子の年は昨年の事象を継承しながらも、それを踏まえて不断に新しく進歩発展していく年といえるでしょう。

前回の庚子は一九六〇年、いわゆるアフリカの年であり、当時西欧諸国の植民地であった多数のアフリカ地域が独立を達成、それは同時に英仏を始めとする欧州諸国の衰退を意味しました。その前の庚子は一九〇〇年、中国では義和団事件が発生して清朝崩壊のカウントダウンが始まります。

 

 

さて、今年の庚子は

昨年は己(こ)亥(がい)として、本ニュースレターでも「本格的に新しい年への転換点となる」と書かせていただきましたが、まさに米中貿易戦争をはじめ、多くの断面で新しい時代の幕開けとなりました。

今年の庚子は前年を踏まえながらもそれを更新し、新しい息吹として膨らんでいく年となります。昨年の種をどのように増殖させていくか、各国・各企業の方向性が分かれていくところとなるでしょう。世界が保護主義や独裁など分断に進む一方、環境問題などでは大きなつながりや連帯を求めており、グローバル化や自由主義、資本主義や格差の問題に対して一段次元の高い解決策が求められていると感じます。今年はそれに対し複数の方向性が示されることになるでしょう。

来年の干支は辛(しん)丑(ちゅう)です。辛は更なる更新を意味し、色々な矛盾や抑圧を突き破って出現してくること、丑は始める、結ぶ、掴むことを意味します。私たちは新しい時代へと一歩踏み入っており、今年が衰退への一里塚となるか、新しい繁栄への橋頭保を築けるのかは私たち一人一人の見識と行動にかかっています。各々が一剣を持して起ち、新たな地歩を切り拓いていきましょう。

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